【こちらはインタビュー記事です】
ソクルスの「コンパッショネイト・リスニング・スキル」シリーズのクラスをレベル3まで受講され、最後の卒業試験を終了した方々を対象に、ソクルスでの学びの体験、そしてその方々の今のご活躍についてインタビューをさせて頂いた内容を、ライター小澤仁美さんが心温まる文体でまとめて下さいました。
ソクルスでの学びを知る材料に、そしてそれ以上に今まさにギフトを輝かせている人たちに、ご縁ある人たちが繋がって下さることを願ってご紹介させて頂きます。
平井さんは日本でただ一人『歌唱療法士』という資格を持つ声のセラピストだ。幼いころから人間の声に興味があり、電車に乗るときは車掌アナウンスを聞きながら『この声の人はどんな顔しているのだろう?』と想像するような子どもだったそうだ。
一度教育の道に進んだ後、39歳のとき単身フィンランドへ留学。発声で心身を整える療法『シンキングセラピー』を学んだ。現在は自宅でアトリエ・カンテレという教室を開き、そこで日々セッションをしている。
歌唱療法というと、やはり曲を歌ったりするのだろうか?
「シンキングセラピーでは既存の歌を歌ってもらうことはあまりありません。その人にとって必要な母音と子音を声から割り出し、簡単な旋律に乗せて歌うように発声してもらいます。『人の声は生まれながらにして美しく完全である』という視点から、その人の声を抑圧するものを丁寧に取り除いていくようなセラピーなんです」
声の不思議な世界についてさわやかに話して下さる平井さん。単に発声だけでなく、声を通してその人の生き方もサポートするようなセッションを日々提供されているそうだ。
そんな彼女がソクルスと出会ったのは、友人の紹介がきっかけだった。
「お友だちで、宏枝さんのブログを読んで『この人に会ってみたい!』とわざわざ伊勢まで会いに行かれた人がいるんです。それほど人を惹きつける宏枝さんってどんな人かしら、という興味から、私も宏枝さんのブログを読むようになりました。
そのうちソクルス1の募集が始まり、私は対人支援業ですし、仕事に役立ちそうだなと参加したのがきっかけです。私も宏枝さんへ会ってみたいと思っていたタイミングでもありました」
そうして始まったレベル1(自分との対話)では、一緒に受講している人たちと自分の思い込みや考え方の癖と向き合った。
「私の回は一緒に学ぶ人がいたのですが、仲間がいるっていいですね。本人にとっては思い出したくないような出来事でも、一緒に内省してくれる誰かがいると大切な意味があったことに気づけたりして。人間ってなんて美しいんだろうと。毎回心からそう思う瞬間がありました」
そのままレベル2(相手との対話)のコースへ。平井さんはレベル2のテーマである「相手の本当の声を聴く」ことが難しかったと語る。
「私は相手が言っていることをそのまま受け取る癖があって、その奥に隠れているその人の本当の気持ちまで聴き取る、という練習が最初難しかったんです。でもあるとき宏枝さんに『シンキングセラピーで人の声を聴くときのように、人の言葉を聴いてみて』というアドバイスで、ああこういうことかと腑に落ちた体験がありました」
ピアノの調律士が鍵盤の音を真剣に聴くように。ソムリエがワインの香りや味をじっくり味わうように。声の響きからその人の本質を見るプロフェッショナルにこのアドバイスは響いたそうだ。
「これまで言葉にとらわれて、言葉だけを聴いていたことをそのとき感じました。それからはクライアントさんの言葉以外のところにも耳を向けるようになって、自分のセッションに奥行きが生まれたように思います」
その後はレベル3(場との対話)へ。平井さんはこの学びの時間を「とにかく楽しかった!」と目をきらきらさせながら振り返る。
「いつかグループの場をつくってみたい、とずっと思っていたんですよ。場をリードする人はオーケストラの指揮者のように、自由にダンスするように、というこの学びは大変ではありましたけど、やりがいがあって楽しかった!」
これまで1:1のプライベートセッションを対面で行ってきたこともあり、場づくりはオンラインですることに決めた平井さん。当初はシンキングセラピーではなく、集まった人とお話し会のようなことをしようと考えていた。
「オンラインで声を扱うのは無理だと思ってたんです。画面の向こうの人が声を発してからこちらに届くまでタイムラグがあるし、何より声の響きを聴くのに対面に敵うものはないって。
でもあるとき場のリードの練習のときに、チェックイン(対話やセッションを始める前に行う、場に馴染むためのアイスブレイクのようなもの)で、私がちょっとピアノを使って皆さんに声を出してもらったら『今のですごくリラックスした』と喜んでくれたことがあったんです。久仁子さんはお話し会よりこういう声を使った会の方が良いよ!ってみんなに言われました(笑)」
仲間の後押しもあり、卒業試験はオンライングループで声のセラピーを行うことに。そうして迎えたレベル3の卒業試験は、彼女にとって生涯忘れられない日となった。
「あの日は伊勢にあるギャラリーをお借りして、そこに集まった方へ東京にいる私が、オンラインで声のセラピーをするという会を行いました。コンサートも開けるような素敵なギャラリーで。そこに集まった人全員がカメラに映るように、宏枝さんのお知り合いの方がセッティングしてくれたり、伊勢市に近いソクルスのメンバーも応援に駆け付けてくれたり。本当に嬉しかったですね」
多くの人の声援を受けながら試験を完了し、ソクルス卒業後は対面だけでなくオンラインでグループセッションと、プライベートセッションも行うようになった。
「今は北海道や九州からもレッスンへ参加してくださる方がいらっしゃって、セラピーの効果がオンラインでもきちんと伝わることを日々感じています。ソクルスでの学びを通して、対面しかできないという思い込みから自由になることができました」
今後の夢は色々あるけれど、何をするにしても人としてのあり方を大切にしていきたいと平井さんは語る。
「何をするかも大事ですが、人としてどうあるか。この『人としての在り方』の大切さを宏枝さんから教わりました。こう言うと固いですけど、実際に私にとって宏枝さんは近所のお姉さんのような人。いつも宏枝さんと話すときは、近所のやさしい何でも知ってるお姉さんのお家に遊びに行くような感覚なんです。宏枝さんのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたいし、ソクルスも色んな人に受けてほしいと願ってます」
ふふっとお茶目に笑う平井さんの瞳はきらきらと光っていて、純粋でエネルギーに満ちた小さい女の子のようだった
自らも可能性を広げ続け、人が生まれ持つ素晴らしさを声から思い出させる人。平井さんのその生き方は、輝く緑の木々を吹き抜ける風のように、颯爽と人の心に新風を起こし続けていくのだろう。
【ザリッチ宏枝からの一言】
ソクルスの授業を通して久仁子さんのお仕事である『シンキングセラピー』を知れば知るほど、私が長い間探していたセラピーを、実際に資格を持って提供している人がここにいる!と興奮したことを思い出します。
私はずっと「声の世界」に興味を持っていました。そして自分の声で、自分の心や波動の調整ができるとずっと思っていました。ただ、そう直感的に思っていただけで、実際にどのように自分の声を使って、自分の状態を調整していったらいいかについては、わからないままでいました。
久仁子さんがレベル3の場のリードの練習で、ピアノを使ってみんなに声を出してもらった時、その場が本当にマジカルな状態になったことは今でもよく覚えています。オンラインでも、久仁子さんのやっているセッションは十分に通用すると確信した瞬間でした。
それから私も個人的にプライベートセッションお願いして、自分の声を使って、自分の心の状態を調整するサポートをして頂いています。セッションをお願いしてからもう1年以上が経ちますが、自分の声が、私自身を深い世界へと導いてくれる体験が続いています。人によっては、あまりに繊細で、わかりにくい世界かもしれませんが、私にとっては、まるでテレパシーの世界を浮遊しているかのような、夢の中にいるような…言葉ではなんとも表現し難い世界に入っていけることが楽しくて仕方がない時間です。セッションの後は、必ずその時の体験を記録して、得た気づきを日々に役立てています。
私がこんなに絶賛しても、久仁子さんの提供しているセラピーの効果をすぐに感じられる人はまだ少ないと思います。だからこそ、時間をかけても、このセラピーの効果はこんなにあるぞ、と私自身もお伝えし続けていきたいと思っています。
久仁子さんのワークに興味を持たれた方は、ぜひ彼女が毎月開講している「声に掛けられた覆いを取り外して、本来の声に還るレッスン」の基礎入門編に参加してみて下さい。
きっと皆さんの魂が喜ぶ時間になると思います。
平井久仁子さんのウェブサイト:アトリエ・カンテレ