【こちらは、インタビュー記事です】
ソクルスの「コンパッショネイト・リスニング・スキル」シリーズのクラスをレベル3まで受講され、最後の卒業試験を終了した方々を対象に、ソクルスでの学びの体験、そしてその方々の今のご活躍についてインタビューをさせて頂いた内容を、ライター小澤仁美さんが心温まる文体でまとめて下さいました。
ソクルスでの学びを知る材料に、そしてそれ以上に今まさにギフトを輝かせている人たちに、ご縁ある人たちが繋がって下さることを願ってご紹介させて頂きます。
吉本さんは現在、ヘルスカンパニーで社員の健康・ウェルビーイングの推進を管理する責任者として働きながら、ライフワークの面では『こころびらき』という活動をしている。
「病のない世界をつくる、これが私の人生の目的の一つなんです。会社の仕事も『こころびらき』での活動も、そこにつながっています」
歌うように伸びやかな声で話す吉本さん。柔和な印象だが、決めたことは最後までやり遂げる力強さを持つ人でもある。最近は自分を調えるために、オンラインパーソナルヨガで運動をしたり、食事や睡眠に気を配りながら、日々心身の調和を取ることを大切にしている。
そんな彼女がソクルスに出会ったきっかけとは。
「ソクルスに出会ったのは、友人がFacebookでソクルスを紹介していた記事を読んだのがきっかけです。読んですぐにこれだ!と思って宏枝さんに連絡を取りました。宏枝さんにはお会いしたことがなかったので、まず講座の前に軽くお話ししてみましょう、ということになりzoom(オンライン)で初めてお会いしました。
そこでお話しした内容は覚えていないのですが、話してるうちに自分の心の深いところに触れる瞬間があって、号泣したんです。心の奥底に突っかかっていたものが抜けたというか。そこから宏枝さんの深い傾聴のあり方と、宏枝さんがつくる場とはどんなものだろう?という興味が湧き、ソクルスの講座に参加するようになりました」
彼女が主宰しているこころびらきは、語らいの場づくりとコーチング、この2つの活動からなる。
「まず語らいの場としてのこころびらきは、定員3名の少人数制で2時間半、誰もがゆったり自分のペースでお話しできる構成になっています。元々はソクルスのレベル3(場との対話)の、ワークショップを自分でつくるという課題で生まれたものです。
一方的に何かを教えたり、自分ひとりだけが主役になるような場づくりは、どうも私は向いてないようで。来てくださった方の心がほぐれるには、自分もほぐれるような内容のものにしたい。そう思っていたとき『おしゃべり』というキーワードがふと頭の中に浮かびました。母がつくってくれるお茶の時間のような、誰もがほっとして元気になれる場を作りたいと思ったんです」
吉本さんのお母さまには筆者もお会いしたことがある。真冬のある日、吉本さんのお宅におじゃました際「外は寒かったでしょう」とお母さまが丁寧に淹れてくださった熱い紅茶と、リンゴのシナモン煮の上品な甘さに、筆者の顔はほころんだ。あの時、吉本さんとお母さまと囲んだあたたかいお茶の時間は今でも忘れられない。
「気軽にお茶をするようにおしゃべりができる場。そして宏枝さんがされているような『何を話してもいい、何も話さなくてもいい』という場づくりを私も体現してみたいと思うようになり、こころびらきは生まれました」
その後、こころびらきは訪れる人たちの好評から毎月開かれる場となり、先日は16回目の開催を迎えたそうだ。
では、もう一つの活動の軸である『こころびらきコーチング』とは、どんなものだろうか。
「コーチである自分が、まずありのままでいることを大切にしているコーチングです。ソクルスレベル2(相手との対話)で学んだ『自分がありのままでいるとクライアントの本当の声が聴こえる』という体験がベースになっています。
以前は自分のことよりもクライアントの期待に応えることがことが大切、と無意識に頑張っていたところがありました。でもコーチの自分がありのままでいると、雑音がないからクライアントの話がきれいに入ってくるんですね。次自分がなにを話そうか・話すべきか、そういう自分の声を一旦全て横に置くためには、まずコーチである自分が自分らしくいることを心がけています」
たしかに普段誰かと話しているとき、あなたの話を聞いていますよという顔をしながら頭の中では「次に自分は何を話そうか」とばかり考えて、相手の話はあまり聞けてないというやり取りは、筆者も含めて多くのところで行われている気がする。
「本当は誰もが純粋に自分の話を聴いてもらいたいんだと思います。宏枝さんに話を聴いてもらいたいという人が多いのは、宏枝さんがありのままでいるからで、それは宏枝さんがこれまで誰よりもご自分と向き合っていらしたからではないかと。安心安全な場づくりという言葉は最近よく聞きますが、宏枝さんはそれを実際に場で体現できる数少ないおひとりではないかと思います」
ふいに吉本さんに、ソクルスでの学びを振り返ってみてどんな日々だったかを聞いてみた。吉本さんは「ソクルスを学んでいた時期は、自分の人生の中で激動の2年間でした」と語る。
2020年・春、コロナ禍。会社ではコロナ危機管理チームの事務方リーダーに着任。二転三転する状況に、その都度最善の対応をしなければならない毎日。そして私生活では最愛の人の死を経験する。
「本当にあの頃、宏枝さんに助けていただきました。東京-伊勢と、距離こそ離れてはいるけれど、ずっと近くで見守ってくださって。宏枝さんがいたからあの時をなんとか乗り切れたと思います。コーチングも受けさせていただきましたし、何よりこころびらきという場を生み出せたこと。あの場を持てたことが、今も私を助けてくれる。最近では『こころびらきで話した夢が叶いました!』と参加してくださるリピーターの方がじわじわ増えてきて、うれしい限りです」
自分らしくいられなくさせるような出来事たちと向き合った季節を越え、今は穏やかに自分のお役目について語る吉本さん。いまだ冬の中にいる人にも寄り添うようにやさしく咲く、早春の花のようなあり方の人だ。
これから目指すところは。
「こころびらきの語らいの場やコーチングセッションで私がしていることが、いつかコミュニケーションとして誰もが当たり前に行われる世界になってほしい、それを目指しています。そのとき初めてみんな本当の意味で健やかになっていくと思うんです。そのためには私がその理想を体現すること。日々、ソクルスレベル1から3の復習ですね」
来てくれた人が心からくつろげる場づくり、本当の気持ちを共有できるおしゃべり。その起点となるのはいつだって自分との関係性だ。
彼女が紡いでいく人と人との心の糸の織物は、天の河のようにこれからも光り、広がり続けていくのだろう。
【ザリッチ宏枝からの一言】
のぞみさんに初めてZOOMでお話しさせてもらった時から、彼女には「懐かしさ」を感じました。それは、私たちの間にある何かしらのご縁から来ているものかもしれませんが、それ以上にのぞみさんが醸し出すエネルギーの中に、純粋な子供の頃の自分を呼び覚ましてくれる力があるからだと思います。彼女と話すと、すぐに自分が素直で純粋な心の状態になります。これは私だけでなく、彼女と話す人は誰もがそうなるだろうと思います。
彼女のギフトは「安心で、安全なスペース」を、決して表面的ではなく、本当に心がホッとして、何でも話していいんだという場を作り出せることです。私自身も自分の話を誰かに聞いてほしいとき、心を開いて誰かと繋がりたいときに、彼女の場に行きたくなります。彼女の「こころびらき」に参加する度に「ただいま」という感覚になるのが嬉しくて、これまでも何度か参加させて頂きました。そしてあの場では、いつも何か「奇跡」みたいなことが起こるんです。これも彼女のギフトによるものであるように思います。
心をひらいて誰かと会話する体験、最近していないなあと思う人は、ぜひのぞみさんの「こころびらき」に参加してみて下さい。私も、どこかの会で皆さんとご一緒できることを楽しみにしています。
吉本のぞみさんのウェブサイト:こころびらき